『多動脳』レビュー

心 Spirit
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興味深い本を読んだので、3分で読めるぐらいに内容をまとめます。

概略

『運動脳』等多数の著書のあるスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏が、発達障害の中でも目立ち、本人も周囲も困り感を持つADHD(注意欠如・多動症)について、クリエイティブさや起業する能力などの強みをいかに活かすかを指南した書。

内容

人間は脳の中で、ドーパミンに刺激されて行動を起こすが、ADHDの人は刺激されにくい遺伝子を持つ人が多く、世の中がつまらなく見える。それで、ドーパミンをくれるものを探し求める。依存症やSNS中毒にもなりやすい。

そんなADHDの人も、数万年単位の歴史の中で、全世界に人間の世界を広め、わずかな刺激にも反応することで食糧となる動物を得ることに貢献するなどして、淘汰されることなく、一定数生存し続けてきた。

現代では、ブレインストーミングでアイデアを出すなどクリエイティブな才能を見せたり、企業して成功するするなど、強みを生かして活躍する人もいる。ただし、それには集団内に弱みをカバーしてくれる人も必要。ADHDの人は、あふれるアイデアをまとめてくれる人と組む必要がある。

ADHDの人の中には、薬が劇的に効く人もいる。ハンセン氏の感覚では、ADHDの人は10%ぐらいいて、その中の5%は薬を必要とする。しかし、薬に頼らなくても、運動によって心拍数を上げれば、集中力を上げることができる。

ADHDの人は、学校などでは問題視されることが多いが、学校側が運動を取り入れたり席順を工夫したりする方法もある。本人も周りの人も、ADHDの強みを活かすにはどうすればいいかを考えてほしい。

落穂拾い

気になったことをいくつか

p.119に、インタビューだけは集中できて、言おうと思っていなかったことまで引き出すジャーナリストの例があるが、長期記憶から関連事項を引っ張り出す能力があってのことだろう。

p.125にある「20~30分勉強して5分休憩を繰り返す」という部分は、ポモドーロテクニックみたい。ポモドーロを考えた人はADHDだったか。

デフォルト・モード・ネットワークが、クリエイティブなアイデアを生み出すものとしてのポジティブな面が書かれている。

瞑想やマインインドフルネスの本(例えば、『なぜ今、仏教なのか』)では集中を乱すネガティブなものとして書かれている。

興味深い。

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