会いたくなったときにあなたはそこにいない

心 Spirit
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ハーバード大学で84年にわたって行われてきた「幸せ研究」で解明された、幸福で健康な人生を送るための鍵は「よい人間関係」でした(『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』)。

しかし、よい人間関係を結ぼうと思っても、相手が存命でなければ話ができません。

会いたいと思っていた人が、すでに亡くなっていたとき、持て余した気持ちを自分なりに落ち着けようとした体験を書いてみたいと思います。

年賀状じまい

世の流れに乗って、今年年賀状じまいをしました。

1月10日を過ぎて、もう来ないだろうと、最後の年賀状の整理をしていたら、毎年頂いていた方から届いていないことに気が付きました。

その方からの年賀状はきっちり元旦に届いていたので、少し悪い予感がしました。

ダメ元でネットを検索してみると、何とヒットしました。

その方は小学校の恩師だったのですが、最後は校長先生を務めておられたようで、亡くなった後に叙位叙勲が行われていたため新聞記事になっており、亡くなった日が分かったのでした。

思い出

全くプライベートな内容なので恐縮ですが、書かずにいられないので書かせていただきます。

その先生には小学校2年生から5年生の時に担任をしてもらっていました。

四十数年前、先生は当時40歳ぐらいの男性で、ぽっこりお腹に緑のTシャツを着ていつも汗をかいていた様子が記憶に残っています。

漢字博士

ある時、漢字書き取りで、「短」という字の偏を「矢」でなく「失」と書いて持っていったら、先生は間違いを教えるのではなく、「漢字博士の◯◯君なのにちょっと違うなぁ」と言って、考えさせてくれました。漢字博士と言われたからには頑張って間違いを探し、以降間違うことはありませんでした。

「ここが突き出たらいけない」と指摘するのは簡単でしょうが、子どもに間違いを発見させ、印象付けて間違わないようにし、「漢字博士」と持ち上げて自尊心を傷つけずに持ち上げてくれる。

先生は何の気なしに言われたのかもしれませんが、今にして思えば教育者として素晴らしく、自分が担任してもらっていたのは幸運なことだと思いました。

ひがみ

そんな先生でしたが、当時の私には少し理解できないことがありました。

今思えば、知的に配慮のいる同級生がいて、先生はいつもその子のそばにいて色々気を遣っていたのでした。

私は小学生だったので、「ひいきはいけない」と思っていた気がします。

今風に言えば、それは「合理的配慮」だったのでしょう。

当時「インクルーシブ」という言葉もなかったと思うのですが、自然体で実践されていたのだと思います。

その頃の私は、その子に対して、少し羨ましく思ったものです。

差別

差別に関する話をする道徳の時間は真剣な表情だった気がします。

思い出す顔はほとんど笑顔なのですが、真剣な表情のときはギャップがあったためか、とても身が引き締まる思いで話を聞いていたように思います。

会える時にあっておこう

年賀状で住所は知っていたので、グーグルマップで調べて、このあたりだろう思って、ランニングの途中によってみたけど、表札を見つけられず、特定できなかった事がありました。

その時に亡くなっていたかどうかわかりませんが、今にした思えば、会ってお礼が言っておきたかった会ってお話ができていれば得ることも多かったのではないかと悔やまれます。

過去は未来に開かれている

おかしな連想かもしれませんが、最近楽しみに見ている、「葬送のフリーレン」というアニメを思い出しました。

人間よりはるかに長寿のエルフであるフリーレンが、現在の仲間と旅しながら、かつて旅した勇者たちの思い出を重ねていくお話ですが、過去の思い出だけど、現在を生きながら再体験することができ、そのことが現在をより豊かなものにしている気がします。

そう思うと、上記の先生との思い出も、本人と共有できなかった残念さがありつつも、今後を生きる上での糧となっていく気がします。

過去は、思い出として過去に閉じているだけではなく、未来に開かれている。

そう思いながら、現在の仲間や後に続くものに何かを残せていけたらいいなと思いました。

なかなか先生のように立派にはいかなだろうけど、とりあえず気持ちだけでも。

記憶は記憶されている

もうひとつ思い出しのたが、ピアニストで物理学者のアーヴィン・ラズロー博士の考え。

世の中には「量子真空」というほとんど無限の領域があって、記憶はそこに保存されているとのこと。

そうならば、先生の残してくれた記憶もそこにあって、アクセスすることができれば自分にも活かせるかもしれない。

わがまま勝手に人に迷惑をかけて生きている自分ですが、偉大な人のことを思うと、それに少しは習おうという気がします。

以前の先生からの年賀状を飾って、少しはあやかれるように努力してみようかと思います。

まとめ

会いたいと思った人には、会えるうちに会っておきましょう。

年に一度でも、会いたいと思っていてなかなか会えていない人に会う旅でも計画してみませんか。

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